術後劇症型抗リン脂質抗体症候群を合併した連合弁膜症の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は39歳,女性.37歳のときに心雑音を指摘され,当院循環器内科を受診した.心エコー上,僧帽弁逆流(MR)と大動脈弁逆流(AR)をmild認め,定期的に経過観察を受けていた.39歳時に心エコー上MRはsevereに,ARはmoderateになったため,手術適応とされた.混合性結合織病のためステロイド内服中で,また,深部静脈血栓症の既往があったため,合併症の精査を行ったところ,抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断を得た.術前にステロイドパルス療法と血漿交換療法を行い,手術に臨んだ.手術は生体弁による2弁置換術を行った.術翌日に,血小板数の急激な減少を認めたため,劇症型APSと診断し,ステロイドパルス療法,大量免疫グロブリン療法,血漿交換療法を併用したところ,術後3日目に血小板数は増加に転じた.APSは手術などを契機に劇症化し,多臓器不全に陥ることがあり,その診断は難しく,また治療法もいまだ確立されておらず,厳重な周術期管理が必要である.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2007-11-15
著者
-
西谷 泰
富山県立中央病院循環器外科
-
星野 修一
富山県立中央病院心臓血管外科
-
齋藤 典彦
富山県立中央病院心臓血管外科
-
村田 明
東京女子医科大学心臓血管外科
-
西谷 泰
富山県立中央病院心臓血管外科
-
西谷 泰
富山県立中央病院内科
-
斎藤 典彦
富山県立中央病院心臓血管外科
-
遊佐 裕明
富山県立中央病院心臓血管外科
-
村田 明
富山県立中央病院心臓血管外科
-
村田 明
富山県立中央病院
-
遊佐 裕明
富山県立中央病院
関連論文
- 画像診断が有用であった心膜脂肪腫の1治験例 : 日本循環器学会第86回東海・第71回北陸合同地方会
- AAEに伴うARの診断に心臓シネMRIが有用であった1例 : 日本循環器学会第67回北陸地方会
- 46) 重症心不全に対する両心室ペーシング療法の効果(日本循環器学会 第99回北陸地方会)
- 53) 高齢者(75歳以上)開心術症例13例の検討
- 123) 突然死より蘇生した先天性左心室瘤の学童例に対する電気生理学的検討
- 28. 甲状腺癌肺転移の治療経験 : 第19回日本肺癌学会北陸支部会
- 13. 胸膜原発と考えられる悪性線維性組織球腫の1例 : 第19回日本肺癌学会北陸支部会
- 45) 心タンポナーデで発症した右房原発心臓血管肉腫に対する1手術例(第114回日本循環器学会北陸地方会)
- 17.気管支閉塞を生じ肺癌を疑われたperibronchial hamartolipomaの1例 : 第36回日本肺癌学会北陸支部会
- 腎動脈分岐異常を伴った腹部大動脈瘤の1治験例