先天性代謝異常マススクリーニング精検症例の検討
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概要
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1977年10月より1981年9月までの4年間の,千葉県下における178,500例の新生児代謝異常マススクリーニングにより得られた120例の精検症例を検討することにより,30例のヒスチジン血症,1例の非典型的高チロジン血症を発見した。この期間中ホモシスチン尿症,フェニールケトン尿症,ガラクトース血症,メープルシロップ尿症は発見できなかった。ヒスチジン血症の発生率は5400人に1例であり,全国平均の8100人に1例より頻度は高かった。確定診断のついた患児以外の精検症例の大部分は,新生児一過性高アミノ酸血症であった。その成因として,肝の未熟性,タンパクの過剰摂取,肝障害などが考えられた。スクリーニング項目以外に,新生児一過性高シトルリン血症とオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症を疑がわせる症例とを発見した。スクリーニング項目以外のアミノ酸代謝異常やアンモニア代謝障害などの存在に留意しなければならないと思われた。マススクリーニングにおいて,メチオニン異常症例の再検時のカットオフポイント(異常と判定する値)を1.5mg/dlまたは2.0mg/dlとする事,さらにチロジン異常症例の再検時期を生後1ヵ月と遅らせる事により,false positive例を半減できる事が明らかになった。今後これらの成績をスクリーニングに還元して,スクリーニングをより精度の高い,かつ効率的なものとしてゆきたい。
著者
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