赤血球の加齢に伴うδ-aminolevulinic acid dehydratase活性の低下因子の解明
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概要
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δ-aminolevulinic acid dehydratase (ALAD)活性は,鉛によって低下するが,赤血球の加齢によっても低下を来す。本実験は,赤血球の加齢に伴うALAD活性の低下因子を解明する目的で行った。実験結果を要約すると次の如くである。1)幼若・老赤血球中の鉛量とALAD活性を測定し比較した。幼若赤血球中には32〜68ng/1×10^<10>RBC,老赤血球中には61〜115ng/1×10^<10>RBCの鉛量が測定された。その結果,老赤血球中の鉛量は20〜50ng/1×10^<10>RBC多かったが,活性低下をもたらす主因とは考えられない値であった。2)幼若・老赤血球の溶血液にZn^<++>(0.25mM)とDTT(10mM)を添加し,ALAD総活性を求めた結果,幼若赤血球を1とすると老赤血球の値は0.50〜0.71,6例平均で0.6となり,加齢によって,本酵素の総活性は減少していた。3)骨髄赤芽球,幼若・老赤血球の3者についてALAD総活性を比較したところ,赤芽球中の本酵素の個体差は大きく2倍強の差がみられた。ALAD総活性の値からみて,幼若赤血球のALADは,骨髄赤芽球に比べ,5〜19.6%が減少し,老赤血球では37〜67%が減少していた。また本酵素のSH基の酸化による活性低下は,赤芽球ではみられなかった。しかし幼若赤血球で12.6〜19.4%が,老赤血球では24.2〜27.3%が低下していた。以上の結果を総合すると,加齢によって活性が低下する現象の主因は,ALAD量の減少であり,次いでALADの酸化による活性低下と微かながら血中鉛量の増加が附与していると考えられる。
- 千葉大学の論文
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