Methicillin耐性Staphylococcus aureusとその流行
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概要
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Staphyloccus aureus(黄色ブドウ球菌)は臨床上重要な病原菌である。本菌には従来,Methicillin Cephalotinなどの抗生剤が治療薬として使用され,耐性菌も非常に希であった。しかし最近2年間にMethicillin耐性S. aureus(MRSA)が急速に増加し,千葉大医学部附属病院に於ても昭和56年度は臨床分離S. aureusの17%を占めるに至った。MRSAは他の系統の抗生剤にも耐性を示す株が多く,多剤耐性化の傾向がみられる。MRSAのMethicillinに対する耐性機構はまだ十分解明されていないが,β-Lactamaseなど酵素によるMethicillinの不活化は確認されておらず,β-Lactam系抗生剤の標的酵素であるPenicillin Binding Proteins(PBPs)の親和性の低下が有力な原因とされている。MRSAには培養温度,培地のpHなどでMethicillinに対する感受性が大きく変化する株もみられ,興味ある性状が種々報告されている。MRSAによる感染症の治療にはVancomycinが第一選択であるが,わが国ではまだ入手困難である。MRSAは今後も増加すると予想され,有効な抗生剤が少ない現在,本菌の動向に十分注意する必要がある。
- 千葉大学の論文
著者
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菅野 治重
千大・臨床検査
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菅野 治重
千葉大学生物活性研究所毒性病理研究部
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寺尾 清
千葉大学生物活性研究所毒性病理研究部
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寺尾 清
千葉大生物活性研
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菅野 治重
千葉大学生物活性研究所
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寺尾 清
千葉大学生物活性研究所
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