日和見感染症における深在性真菌症の現状
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概要
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日和見感染症としての真菌感染症では,Candida,Aspergillus,Cryptococcusなどが主な原因となる。千葉大学病院において第三世代セフェム系抗菌剤の臨床応用が本格的に開始された1982年以降,各種臨床材料からの真菌の分離が増加している。各菌種別に惹起する感染症を挙げると,Candidaは広範な臓器に種々の感染症を惹起させるが,臨床的に重要なものには,肺感染,消化管感染,尿路感染,敗血症などがある。Aspergillusは呼吸器に重篤な感染を惹起し,病型としてはAspergilloma,侵入性肺臓炎がある。Cryptococcus neoformansは中枢神経系に脳炎,髄膜炎を惹起し,肺,皮膚などに肉芽腫を形成する。真菌症の診断には培養,免疫学的検査,病理組織診などが利用されているが,診断が困難な例が多い。特に培養検査は検出率が低く,また検出されてもCandidaなどは人の常在菌のため,臨床的評価が困難である。免疫学的検査法では抗原検出法が真菌症の診断に最も適した検査法と思われ,その将来が期待される。現在は真菌症の検査としては病理組織診が最も確実な検査法である。抗真菌剤としてはamphotericin Bが中心的存在であるが,全体として深在性真菌症に対する化学療法の治療効果は低く致命率も高いため,現在は現実的な問題として,真菌症の発症の予防と早期診断が重要である。
- 千葉大学の論文
著者
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菅野 治重
千大・臨床検査
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菅野 治重
千葉大学真核微生物研究センター 活性応答研究部門形態応答分野
-
寺尾 清
千葉大学真核微生物研究センター 活性応答研究部門形態応答分野
-
寺尾 清
千葉大学真核微性物研究センター
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