Indocyanine Greenの遺伝性肝内移送異常症(ICG不耐症)についての臨床的研究
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概要
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Indocyanine green(ICG)の遺伝性肝内排泄異常症,即ちICG不耐症の9症例についてICGの肝処理能を詳細に検索し,またあわせて本症における他の有機陰イオン(ビリルビン,bromosulphophthalein (BSP),胆汁酸)の肝での処理動態についても検索した。ICG不耐症は高ビリルビン血症の有無により便宣上二つに分類できた。即ち黄疸のないものをI型,黄疸を呈するものをII型とした。肝細胞総予備能としてのICG-Vmaxは正常値(4.0±0.9mg/kg/min,M±SD)と比べI型,II型で共に著減しており(0.10±0.02,0.32±0.02mg/kg/min),肝でのICGの摂取は著しく低下している事が示唆された。ICGの血液中クリアランスの分析より血中より肝細胞への移行の著しい障害が想定された。また肝内移送蛋白であるリガンディンやZ蛋白の量は正常であり,さらにICGと血中蛋白との結合様式に異常の認められなかった事から本症のICG摂取障害には血中及び肝内移送の異常は考えにくいと思われた。ニコチン酸の血中投与によりGilbert症候群では血中非抱合型ビリルビンの0.9mg/dl以上の増加が認められるが,II型ではGilbert症候群と同様のビリルビン増加を示しビリルビン代謝異常の存在が示唆されたが,I型では血中ビリルビン増加は少なく正常パターンでありI型ではビリルビン代謝異常はないと思われた。一方胆汁酸代謝を検索する目的で実施したウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid,UDCA)経口負荷試験ではII型ではGilbert症候群と同じく血中UDCAは著明増加し,胆汁酸の肝でのクリアランス低下が示唆されたが,I型では正常域であり胆汁酸クリアランスに異常はないと思われた。他の色素の検索では^<131>I-rose bengalの血中消失曲線はI型で有意に低下していた。以上の結果によりICG不耐症のI型は全く新しい有機陰イオン肝内移送異常症と思われ,またII型はGilbert症候群の亜型である可能性が想定された。
- 千葉大学の論文
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