先天性甲状腺機能低下症スクリーニングに関する研究 : II.チェックリストによる先天性甲状腺機能低下症スクリーニング
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の知能障害を防ぐ目的で早期新生児期のスクリーニングを行った。早期新生児期に見られるクレチン症の臨床像からチェックリストを作成し,諸病院で新生児をチェックし,一項目でも異常像を呈した新生児を陽性者とした。陽性者の足底穿刺より得られた濾紙血液から,I編で報告した方法によってT_4を測定し,低値者を呼び出し精査した。9項目よりなるチェックリストとI編の濾紙血液T_4測定法1による旧法によって,3病院にて2998例の新生児をチェックした。平均陽性率は1.7%で,T_4低値者は3例,そのうち1例は脳室奇形で,2例は精査時にはT_4正常を示しうち1例は呼吸障害があった。チェックリストを改変し濾紙血液T_4測定法2または3による新法によって,6病院で2469例の新生児をチェックした。平均陽性率は27.2%で,T_4低値者は7例,うち1例はクレチン症,1例はTBG欠損症,4例は精査時にはT_4正常を示しこのうち2例に呼吸障害があり,他の1例は不明であった。マス・スクリーニングで発見された6例のクレチン症は,全例が新法のチェックリストで陽性であった。5467例に1例のクレチン症発見頻度はマス・スクリーニング法と対比するとほぼ同じであり,検査例数を新法では約30%に少なくできる利点があったが,新法の6病院におけるチェックリスト陽性率が5.8〜55.4%と大きく違っていた点で,本法を行政的に行うには無理があると思われた。またT_4によってスクリーニングすると,TBG欠損症や呼吸障害による一過性低T_4血症のfalse positiveが入るので注意が必要と思われた。
- 千葉大学の論文
著者
関連論文
- 先天性甲状腺機能低下症スクリーニングに関する研究 : II.チェックリストによる先天性甲状腺機能低下症スクリーニング
- 先天性甲状腺機能低下症スクリーニングに関する研究 : I.濾紙血液thyroxine測定法