先天性甲状腺機能低下症スクリーニングに関する研究 : I.濾紙血液thyroxine測定法
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概要
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先天性甲状腺機能低下症の新生児スクリーニングを目的とした濾紙血液からのthyroxine(T_4)測定法を検討した。測定法1は,東洋濾紙No.50の径10mm disc 2枚を測定材料とし,barbital bufferにて濾紙よりT_4を抽出した。抽出液に^<125>I-T_4とT_4抗血清を加え,インキュベーション後レジンストリップでboundとfreeのT_4を分離した。測定法2は,PKU濾紙の径10mm disc 1枚を測定材料として,測定法1と同じ方法でT_4測定をした。測定法3は,PKU濾紙の径3mm disc 1枚を測定材料として,glycine-acetate-gelatin bufferを含むT_4抗血清および^<125>I-T_4を加えインキュベーション後,polyethylene glycolにてB-F分離を行った。結果は,測定法1にて,濾紙血液からのT_4抽出時間は12〜16時間では安定していた。血清T_4と濾紙血液T_4とはr=0.961(n=20)と良好な相関を有し,血清T_4 2.2μg/dlの者の濾紙血液T_4も測定可能であり,血清T_4低値者は濾紙血液によっても十分にT_4正常者から分離可能であった。測定法2においても,血清T_4と濾紙血液T_4とは_r=0.895(n=25)と良好な相関を有し,血清T_4 1.2μg/dlの者の濾紙血液T_4も測定可能であった。最後にさらに微量の材料による測定法3の結果は,まず径11mmの濾紙血液から径3mmのdiscをパンチアウトする場合,中心部と周辺部とではT_4の分布に差があったので周辺部からパンチアウトするように統一した。血清T_4と濾紙血液T_4とはr=0.900(n=30)と良好な相関を有し,血清T_4 2.0μg/dlの者の濾紙血液T_4も測定可能であった。以上,濾紙血液材料を順次微量化させて3方法の濾紙血液T_4の測定を行い,先天性甲状腺機能低下症スクリーニングに実用化し得る方法を確立した。
- 千葉大学の論文
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