白クローバの開花・結実ならびに栄養生長に対する日長・土壌水分の影響
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概要
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白クローバの開花・結実および栄養生長に及ぼす日長・土壌水分の影響を知るために,生育型の異なるItaly,Wilkla witte weide,Louisiana Nolin'sの3品種を35°Nの自然日長および45°Nの日長に相当する長日処理のそれぞれについて自然の降雨のみの乾燥条件と,圃場容水量の60%を維持する湿潤条件とで栽培し,1961年に6回の刈取りを行なって関連諸形質を調査した。日長,土壌水分,品種をそれぞれ主区,細区,細々区に配置し,品種と処理の交互作用についての知見も得られるようにした。長日処理はItaly,Wilklaで頭花数の増加をもたらし,Italyでは3番草で自然日長の4倍(350/m^2),4番草で2倍(480/m^2)となった。Wilklaでは3番草で2倍弱(500/m^2)と増加したほか,開花のピークが早まる傾向を示した。低緯度地方産のLa-Nでは長日処理による頭花数の増加は見られなかった。土壌水分の頭花数に対する影響は日長に比べて弱いが,多湿条件は栄養生長を刺戟して頭花数を押える傾向にある。土壌水分は頭花数よりも種子の発育に強く作用し,多湿は生殖生長と栄養生長のバランスを乱して種子の登熟を妨げ,未熟種子を多くする結果を招く。日長の栄養生長に対する影響はLa-N<Wilkla<Italyの順に強いが,長日処理は葉大,L・A・I,ランナー密度および太さを減少させ,収量低下を招き,刈取りによる収量低下速度を早める。一方,多湿は日長処理による草勢の衰えを柔らげるのに役立つが,その効果はラジノ型のItalyで最も著しい。ラジノクローバでは長日処理による栄養生長の抑制効果が大きく,頭花数の増加が顕著なことから,高緯度・少雨地帯に採種地を求めることによって,ある程度の種子生産が可能であると推定された。また,高位生産を求められる中緯度地帯には逆に,生殖生長への移行にかなりの長日条件を必要とし,再生力が旺盛で生産の季節的片寄りの少ない,いわゆるnon-floweringタイプをねらうのもラジノクローバ育種の一方向と考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1968-04-20
著者
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