チモシー(Phleum pratense L.)およびオーチヤードグラス(Dactylis Glomerata L.)の採種に関する研究 : I.採種量に影響を及ぼす諸形質の径路分析
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概要
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海外から導入した品種の種子生産力および採種量に影響をおよぼすと思われる諸形質の相互関係やその重要度を知るため3ヵ年(昭和38〜40年)間試験を行なった。チモシー21品種,オーチャードグラス25品種を供試し,50cm条播乱塊法3友復とした。チモシーにおける採種量は例外はあったが概して在来種が収量高くほとんどの導入品種は低収であった。これに反して,オーチャードグラスでは一般に導入品種の種子生産力がすぐれていた。両草種とも播種3年目における採種量は,前年に比べて著しく減退した。調査した7または8形質について,採種量に対する単純相関を求めた結果,チモシーでは採種量と桿長,100穂当たり粒重および100粒重との間に高度に有意な正の相関が認められた。出穂期や倒伏とは負の相関を示し,早生で倒伏しがたいものが採種量が多いことを示唆した。オーチャードグラスの採種量は稈長および穂数との間に有意な正の相関が認められ,出穂期とは負の相関が得られた。しかしながら,径路分析によってこれらの相関係数を直接効果と間接効果に分割したところ,単純相関でみた場合と多少違った結果が得られた。すなわちチモシーにおける採種量は100穂当たり粒重や100粒重に直接影響される点は,単純相関の場合と同じであったが,桿長,出穂期および倒伏は100当たり粒重や100粒重を通して与える正また負はの間接効果が大きいために,単純相関係数の価が高くなったもので,いわゆる見かけの数字であることが明らかにされた。また,オーチャードグラスにおける採種量は,穂数の多少によって最も強く影響され,桿長,出穂期および穂長は年次により一定の傾向は得られなかったが,概して余り重要な形質ではないと認められた。以上,この試験で得られた成績の限りでは,種子生産力の高い品種を育成するには,チモシーにおいては100穂当たり粒重と100粒重,オーチャードグラスでは穂数,という重要形質を中心にしそ選抜するのが効果的であるという暗示が与えられた。
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