胎児肺成熟度判定におけるMRIの有用性に関する研究
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概要
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[目的]胎児肺の成熟は出生後の予後に大きく関係している。サーファクタントの投与を行ってもRDSが改善されない新生児を時に認めるが,これは胎児の肺が未熟でサーファクタントに反応できないことを意味している。胎児の肺から分泌される肺液は肺の成熟に必須であり,肺の水分含有量が少ないと肺の成熟は難しい。そこで,胎児肺の成熟度を胎児の肺の水分量で推定できないかと考え,MRIのT2強調画像上で肺と肝臓の信号強度比を検討した。[対象と方法]当科で妊娠22週以降に何らかの理由で胎児のMRI撮影を施行し,分娩に至った45児47症例を対象とした。胎児肺の形成障害を引き起こすと考えられる染色体異常症例は除外した。T2強調画像において,胎児の肺と肝臓の信号強度を同一画面上で比較し,信号強度比を算出した。肺-肝臓信号強度比と出生後の呼吸障害の有無,また撮影時の妊娠週数との関係について検討した。[結果]出生後呼吸障害を呈さなかった群の肺-肝臓信号強度比は2.25±0.31(Mean±SD,以下同じ)であり,呼吸障害を呈した群の1.62±0.31に比し有意に高く,かつ妊娠の進行にともなって肺-肝臓信号強度比が上昇することが明らかにされた。[結論]MRIによって診断される胎児肺の成熟が出生後の予後因子として重要であることが明らかにされた。
- 金沢医科大学の論文
著者
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