日本の雇用システムの変容とキャリア形成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
従来,日本企業における終身雇用慣行と年功制を前提とする日本型雇用慣行システムの存在によって,組織内キャリア形成を可能にする日本型人材育成の有効性を発揮してきたと思われる.しかしながら,近年日本型雇用慣行システムの崩壊ないし変容という現象が起こっている.それは,非正規労働を中心とする働き方の多様化の拡大によるものである.そして,このような現象に伴うキャリア形成における認識転換が求められている.従来,日本企業における個人のキャリア形成は,長期にわたる雇用関係の下,「会社任せ」で形成されていた.しかしながら,求められる能力の変化が激しく,組織内においての革新を生み出すために自発性が尊重されるようになったことから,個人が自ら主導して,組織や社会のニーズに合ったキャリア形成を図る重要性が増している.したがって,本稿では,本来の日本企業におけるキャリア形成の有効性の維持を発揮させることが大切であり,時代の変化に適切に適応しながら,その有効性を維持するための企業サイドからのキャリア支援システムの実現と従業員サイドからの自己責任的認識の拡散とがバランスよく機能されることの重要性について検討してきた.つまるところ,今後日本企業における従業員個々人のキャリア形成問題は,本来の日本企業の人材育成の有効性を発揮しながら,キャリア・コミットメントの実現を図る方向への発想転換を求められる時代的課題が日本企業レベルと従業員個人レベルに同時に差し掛かっていることを確認した.
- 跡見学園女子大学の論文
- 2007-03-15