看護師による『こころの健康相談』の来談者のニーズおよび効果の検討
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概要
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本研究の代表者らは、《まちの保健室》事業の趣旨に基づき看護大学教員が展開する『専門相談』の一環として、精神看護学担当教員による『こころの健康相談』を立ち上げ、平成15年度より実践している。1年間の活動実績から、来談者にとっての、精神神経科や心療内科に求めるものとは異なるニーズが示唆された。そこで、2年目の活動実績の検討ならびに継続来談者への面接調査を行い、来談者のニーズおよび相談の効果について検討した。その結果、相談件数は1年目の約1.8倍に増加しており、来談理由については、精神的問題をもつ子どもの親としての悩みや家族関係のストレスが過半数を占めていた。自分自身の健康問題では抑うつ状態が最も多く、その半数は神経科に通院服薬中であり、その他に通院中の心療内科から紹介された人もいた。これらのことから、来談者の多くは精神科・神経科、心療内科などの医療機関の活用もしくは補完的な機能に関するニーズを有しているものと考えられた。継続来談者への面接調査の結果をも含めて検討した結果、(1)専門的な判断や助言、(2)じっくりと話を聴いてもらうこと、(3)適切な社会資源の情報、などに関するニーズが明らかになった。相談による効果については、継続来談者には、(1)心理的な安定が得られた、(2)問題解決への動機づけが高まった、(3)専門的な情報や助言を主体的に活用するようになった、(4)状況の改善や自己効力感の高まりが得られた、(5)悩みはありながらも安定した生活を営めるようになった、などの前向きな変化がみられた。
- 兵庫県立大学の論文
- 2007-03-15
著者
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立垣 祐子
光愛病院
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近澤 範子
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座精神看護学
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玉木 敦子
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座精神看護学
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立垣 祐子
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座精神看護学
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原田 奈津子
兵庫県立大学看護学部生涯健康看護講座精神看護学
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川田 美和
光愛病院
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近澤 範子
兵庫県立大学看護学部
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