送金と残留民の経済厚生
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概要
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国際労働移動と経済厚生の関係を扱う論文は多いが、その中で送金の効果が分析されているものはほとんどない。送金は、労働送り出し国の残留民の経済厚生にいかなる影響を与えるのであろうか。本稿は、貿易財ならびに非貿易財を生産する経済において、労働受け入れ国への労働者の移動と彼らの送金が労働送り出し国の残留民の厚生に与える効果を数学的に説明するものである。リベラ・バーティズモデルでは、もし非貿易財が労働集約的であれば、労働輸出が残留民の経済厚生にマイナスの影響を及ぼしうることが示されているとはいえ、移動労働者からの送金が存在するときには、残留民の経済厚生はより高くにも低くにもなりうる。移動労働者の縁者(第1グループ)と彼らとは全く関係のない人々(第2グループ)から構成される残留民の間で、送金の厚生効果は異なるのである。第1グループは送金を直接的に受け取るにもかかわらず、非貿易財を需要する者としてその財の価格上昇の影響を受けるであろう。このとき、彼らは送金によって、より高い厚生を獲得するが、非貿易財の価格上昇によってより低い厚生に甘んじることになる。一方、価格効果は、非貿易財を供給する者としての第2グループを利することになり、このため、彼らはより高い厚生を獲得することが可能となる。送金を消費目的のものと投資目的のものに分解したとしても、この状況は変わらない。これら2種類の送金は、ともに非貿易財の価格上昇に結び付くであろう。
- 関西国際大学の論文
- 2001-03-31
著者
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