大学から職業への移行問題とキャリア教育の考察
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概要
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近年,フリーター,ニートの増加など,若年者をめぐる雇用問題は大きな社会問題となっている。大卒者も例外でない。若年者の雇用悪化の背景には,厳しい就職環境といった外的要因のみならず,就職者の職業観や就業意識などの内的要因,日本的雇用制度としての年功序列貸金制・終身雇用制の崩壊という構造的な要因も複雑に絡んでいるといえる。また,経団連が提唱した「雇用ポートフォリオ」という考え方に基づいた新たな複線型の雇用管理の導入も新規学卒採用を少数厳選採用に向かわせている。伝統的な日本型雇用システムであった「新規学卒定期一括採用」という「モデル」は,産業構造の変動に規定されてゆらぎ始めている。若年雇用の不安定化によって生み出される社会的問題は無視できない。日本全体の人的資本の蓄積の後退,社会全体に経済的損失をもたらす可能性,若者たちのエネルギーが誤った方向に流れる等,社会全般に及ぼす影響は決して小さくない。本稿は,若年者の雇用事情が深刻な事態をもたらしている社会的な背景を探り,高等教育機関としての大学が,学生を社会に送り出すにあたって,いかに職業生活への移行を円滑に図っていくか,大学教育の役割をどのように果たしていくべきか,大卒者の就職事情,就職観等を分析し,キャリア教育の在り方について考察を試みる。
- 2007-03-31
著者
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