非翻訳領域に存在する上流オープンリーディングフレームを介した翻訳制御
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概要
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mab-21l1は、線虫の細胞運命決定遺伝子mab-21のマウスホモログである。この遺伝子のエクソンの5'非翻訳領域は比較的長く、その中にはKozakのコンセンサス配列に合致したオープンリーディングフレーム(ORF)が一つ存在する。この上流ORFとの融合タンパク質として発現するようにデザインしたレポーター遺伝子を導入したトランスジェニックマウスでは、主ORFの場合の4分の1程度の発現量だが、主ORFと同様の組織特異的発現を示した。上流ORFの存在が主ORFの翻訳効率に与える影響を一過的発現系を利用して調べた結果、上流ORFに変異を導入すると主ORFからの翻訳効率がおよそ30%上昇した。これらの結果は、この上流ORFがin vivo で実際に翻訳されることを示した。上流ORFが、そのアミノ酸配列は異なるがヒトや線虫のmab-21でも見られることから、上流ORFを利用した共通の翻訳制御機構がこの遺伝子群に存在することが示唆された。
- 近畿大学の論文
- 2002-12-30