微生物を利用した重金属の簡便検出法 : 寒天平板法とフィルター固定法
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概要
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Sphingomonas paucimobilisは重金属に対してきわめて高い感受性を示すoligotrophic bacteriaである。この細菌は極端に低い栄養度の環境下でも十分に生育しうる細菌で低栄養または貧栄養細菌とよばれている。重金属の種類で若干異なるが、この細菌は10^<-4>mM程度の重金属が存在すれば著しい増殖阻害をうける。当初我々は重金属存在下で培養した後、培養液の濁度を調べて検出を行う方法を確立したが、全工程が液体培養であるため手法がやや煩雑になり簡便さにかけるところがあった。そこでより簡便な手法として寒天培地上の細菌の消長で重金属を検出する寒天平板法を考案した。しかしこれも一部液体培養系がはいるため無菌操作等の手技を必要とした。最終的にろ紙に細菌を固定し、このろ紙を試験液に接触させた後培養することで試験液中の重金属の有無を検出することができた(ろ紙固定法)。この方法では特別な手技を必要とせず、誰でも簡単に行えるので簡便で安価な重金属の検出法として有用性があると考えられる。寒天平板法での検出限度は10^<-3>mMから10^<-4>mM,ろ紙固定法では10^<-2>mMから10^<-4>mMである。本法は特に重金属の検出に有効であるが、濃度によっては他の毒性物質にも反応する。逆に言うと多くの毒性物質に反応するので環境モニタリングのファーストスクリーニングに有用である。
- 近畿大学の論文
- 2002-12-30
著者
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岡南 政宏
近畿大院・生物理工
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多田 宜文
近畿大院・生物理工
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多田 宜文
近大・生物理工
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前田 達彦
近畿大学生物理工学部生物工学科
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多田 宜文
近畿大学生物理工学部生物工学科
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岡南 政宏
近畿大学生物理工学部生物工学科
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岡南 政宏
近畿大学生物理工学部
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