牧草地植生の解析と診断 : 1.西富士地域の草地型区分
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概要
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牧草地植生の解析と診断の目的で,静岡県から山梨県にわたる富士山西麓の牧草地の植生と管理,利用状況の調査を行なった。1987年と1988年の夏に,43点の草地につきポイント法で調査し,牧草と雑草の頻度(%)のデータを得た。相関行列と主成分の分析から種間関係を解析し,これに基づいて,最も頻度の高い草種により,5つの草地型(A-E)に,更に第2位以下の種により各型を2つずっ,合計10の亜型に細分した。そして草地型と利用,造成後の年数及び雑草との関係を考察した。A型はペレニアルライグラス等の多い放牧地の型で,やや古く,1年生,多年性の雑草の種類はやや多い。B-E型は採草地である。B型はオーチャードグラス(Og)等が多く,新しく,雑草の侵入は少ない。C型はライグラス類(Ig)の多い型で,0gまたはリードカナリーグラス(Rcg)を伴う。Ogを伴う草地は若いものが,Rcgを伴う草地は古いものが多い。雑草の種類はやや多い。D型はRcgの多い型で,10-20年を経た古い草地か,新しい草地では更新されたものである。更新はRcgの増殖を促すとみられた。1年生雑草は極く少なく,エゾノギシギシ(Ro)が出る場合が多い。E型は1年生または多年生雑草の多い型で,前者は若い草地にみられ,Roがなく,後者は古い草地で,Roやレッドトップを伴う。
- 日本草地学会の論文
- 1991-04-30