西南日本におけるトールフェスク(Festuca arundinacea SCHREB.)草地の適正放牧圧
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概要
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西南日本の寒地型牧草地を長期に放牧利用するための適正放牧圧を解明するため,トールフェスク草地の放牧回次ごとの可食草量当たり放牧延頭数に強弱を設け,1牧区当たり年間7回の輪換放牧を6年間継続し,採食利用率,採食量,植生及び草質を検討した。放牧延頭数は,ha当たり放牧圧の強区(H区)1368頭,弱区(L区)1013頭で,採食量は,ha当たり,乾物重でH区8174kg,L区7707kgであった。採食利用率は,放牧回次によりH区47-86%,L区36-62%の範囲にあり,1日1頭当たり採食量はそれぞれ4.8-7.3kg及び6.5-9.8kgであった。採食利用率,1日1頭当たり採食量とも春季と冬季に高く,夏季から秋季にかけて低下した。トールフェスクの被度は両区とも90%前後を維持し,出現草種の総数及びトールフェスク以外の全草種の被度はH区がやや高かったが,試験開始2-3年目以降は両区ともほぼ安定した。トールフェスクの草質は季節による変化が大きく,草丈が低い方が良好であった。本試験の施肥水準及び輪換放牧回数を前提とすれば,草地の利用率を3-5月は60-70%,6-8月は40%,9-11月は50%,さらに冬季は70-80%に程度に設定すれば,放牧家畜,草地の双方にとって無理がなく,長期間安定した利用が可能と判断された。
- 1990-07-31
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