日本における不耕起草地造成の新工法 : 1.スタンプカッタ-ブッシュカッタシステムによる前植生の切断・破砕処理および破砕木片に富む播種床の造成
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概要
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本論文において,筆者らは新しい機械を主体として用いる不耕起草地の造成工法を報告する。この工法の主要な改良点は前植生をその場で切断・破砕して破砕木片に富む播種床を造成することである。この工法は根株を切断するスタンプカッタ(SC)および雑潅木を破砕するブッシュカッタ(BC)を組合せて用いる。SCの基本的な部分は油圧シャベルであり,一般的に土木工学の作業では掘削機として通常に用いられている。ふたつのハサミ状になった刃先はその掘削機のブラケットの部分に取り付けられ開閉が可能である。この刃先が根株の周囲に挿入されて根株を切る。BCは幼木および背の高い潅木を破砕し,同時に地表下約5cmの土壌を攪拌する。そのため,前植生の草本類(永年野草)の根圏および根も同様に切削および破砕する。SCの作業限界傾斜は約25度であり,平均直径51cm,平均高44cmの根株が274本/haの切削試験では687分/ha,2.5分/根株1本の作業時間であった。また,BCの作業限界傾斜は約30度であり,2往復処理した作業時間は35時間/haで,処理後の大部分の破砕木片は長さ10cm以下であった。この新工法は土壌のみならず根株や打ちおろされた枝や幹の移動をしないために,地表面の凹凸は造成前とほとんど変わらなかった。また,造成後4か月間の29回,合計581.9mmの降雨にもかかわらず,播種床土壌の侵食および破砕木片の移動は認められなかった。造成後の草地には根株や排根線がなく,維持・管理用のトラクタは走行に支障がないと判断された。
- 日本草地学会の論文
- 1990-07-31
著者
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