反応平衡における熱揺動の生理学的役割(ナノバイオダイナミクス,研究会報告)
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概要
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生物学で用いられる定量的方法は、一般的にはほぼ熱力学と反応速度諭に限られ、平衡した反応には、共に適用されている。しかし、これらの物理的基礎はもともと異なっており、従って対象とする巨視的状態の定義にも差がある。二つの巨視的状態の間のポテンシャル障壁がkT程度以下の場合、二状態は反応速度論では分離して取り扱えるが、熱力学では特殊な場合を除いて分離できない。そのような低いポテンシャル障壁は、タンパク質のDNA上の1次元的拡散で実際に観測されており、DNA上の高親和性部位の親和性は、局所構造だけでなくDNA長にも依存するという効果が生じ得る。この効果は数種のタンパク質で観測されており、反応速度論でしか解析できず、熱力学は無力である。
- 物性研究刊行会の論文
- 2006-02-20
著者
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嶋本 伸雄
遺伝研・構造遺伝学研究センター
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嶋本 伸雄
国立遺伝学研究所, 構造遺伝
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富澤 純一
国立遺伝学研究所総研大生命遺伝学
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富澤 純一
国立遺伝学研究所・総研大生命科学研究科
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嶋本 伸雄
国立遺伝学研究所
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