免疫ネットワーク理論による記憶現象へのアプローチ(動的システムの情報論3,研究会報告)
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概要
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ワクチン医療では、自己増殖能力を敢えて残したいわゆる"viral"抗原をワクチンとして使用することで、10年以上もの長期に渡り持続する免疫記憶を作り出すことができる一方、non-viralな抗原を使用した場合に形成される記憶は、その持続期間が比較的短く数年以下であることが経験的に知られている。これは免疫系が抗原の自己増殖能力の有無、つまり危険度の高低に応じて抗原を記憶しておく期間に違いを設けていること示唆しており、免疫系の記憶戦跡を考察する立場から興味深い現象であると考えられる。本研究は、Jerneにより提案されたidiotype network仮説に従ったシンプルで解析可能なミニマルモデルを用い、抗原の自己増殖能力の有無と、記憶の持続性の相関関係を力学的に明らかにする。具体的には、抗原が自己増殖する度合を増し、その危険度を高めると、システムはある自己増殖率を境に、トランジェントダイナミクスに埋め込まれだ"失われる"記憶ではなく、アトラクターに埋め込まれた"失われることのない"記憶を形成するようになることを示す。
- 物性研究刊行会の論文
- 2004-10-20
著者
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