悪性グリオーマに対する硼素中性子捕捉療法の治療効果の検討 : ラットC6 gliomaモデルを用いた基礎研究
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概要
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硼素中性子捕捉療法(BNCT)の画像上の特徴は早期からの腫瘍造影陽性域の縮小および抗浮腫作用である.これらの効果機序を明らかにするため,C6ラットgliomaモデルを用いて検討を行った.また,治療効果向上には腫瘍内硼素分布の把握が重要であり,硼素化合物に対するモノクローナル抗体の評価を培養細胞とラットC6 gliomaを用いて行った.C6 glioma移植7日後ラットにBNCTを行い,照射4日後に頭部MRIおよびKi67, ED1, OX42による病理組織評価を行った.抗BPA抗体はC6 glioma, G361 melanoma単層培養およびC6ラットgliomaモデルを用いて検討した.MRIでの腫瘍体積はBNCT群で39±2mm^3,非治療群では134±18mm^3と有意に抑制された.Ki-67 labeling indexはBNCT群で6.5±4.7%,非治療群で35.8±3.8%と有意に減少した.BNCT群は非治療群に比べ,マクロファージの発現は抑制され,特に細胞突起が消失した活性型マクロファージの抑制を示した.抗BPA抗体の単層培養評価では硼素濃度依存性に発現を認め,C6 gliomaおよびG361 melanomaともに陽性所見を認めた.腫瘍内のBPA抗体陽性細胞は不均一であり,特に腫瘍中心部に強い発現を示した.境界付近の腫瘍細胞での発現は減弱していた.BNCTは早期から腫瘍細胞周期を停止させるとともに,活性型マクロファージ抑制によるサイトカインの減少が抗浮腫効果の一因であることが示唆された.BNCT治療の効果向上には,腫瘍浸潤領域に高い硼素濃度を確保する必要があると考えられた.
- 近畿大学の論文
- 2006-12-25
著者
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