社会調査環境の悪化とその対策 : 調査実施法と回収率向上の注意点(第20回社会情報調査の方法に関する研究会)
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概要
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近年,プライバシー意識の高まりや単身世帯の増加など,社会調査環境の悪化が指摘されており,不在や調査拒否が増え,回収率が低下しています.特に2005年は,個人情報保護法,日銀や総務省の調査における不正回答,国勢調査のトラブルなど,調査についてのニュースが多く注目され,回収率のさらなる低下に結びついたとも言われています.日本の統計的社会調査は,正確な無作為抽出に基づくものが多く,世界的に見ても偏りが少なく質の良いデータをとってきました.しかし有権者名簿閲覧を禁止する法案が検討されるなど,今後の調査環境は厳しいものがあります.調査の現場の経験からいうと,回収率向上のためには,依頼状などで責任者の所在を明確にするとともに,調査員のやる気を喚起することが重要になります.その上で,調査不能や拒否の詳細な記録をとることによって,回収率を高めることが出来ます.学会として学術調査の信用を高める努力も必要になるでしょう.学問の発展のためには,回収率が高く質の良いデータをとる努力をしていく必要があります.
- 札幌学院大学の論文
- 2007-03-31
著者
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