ごみ処理有料化の合意条件 : 仙台市における意識調査の計量分析
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概要
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ごみの減量化や資源化を促進する経済的手法の一つとして、家庭から排出されるごみ処理の有料化が期待されている。しかし、不法投棄の増加可能性に代表されるような問題点も指摘されており、有料化にあたっては、その効率と公平さに関する人びとの合意を形成しながら、制度を確立することが重要である。本稿では、社会調査データを分析することにより、有料化への合意条件を探る。有料化についての意識に関連する要因としては、費用負担の公平さに関する意識と有料化から生じる事態の予測をとりあげた。さらに、それらを規定する要因として、人びとの状況認知やごみ問題への対処行動についての意識を考えた。分析に用いたデータは、1993年11月に仙台市の1,500世帯を対象におこなった調査によって得たものである。有料化を許容する回答者は、家庭ごみで4割、粗大ごみで8割弱を占めていた。分析の結果、ごみ問題に対する対処行動への協力可能性の高さや、他の人びとが対処行動を実行していないとの認知が、従量制を公平と考えることや有料化への賛成に結びついていることが明らかになった。また、対処行動への協力可能性に対しては、対処行動の手間や有効性に関する意識が規定因となっていることを確認した。
- 環境社会学会の論文
- 1995-09-01
著者
-
海野 道郎
東北大学文学部
-
阿部 晃士
岩手県立大学
-
村瀬 洋一
立教大学
-
中野 康人
東北大学大学院文学研究科
-
阿部 晃士
日本学術振興会
-
村瀬 洋一
東北大学大学院文学研究科
-
中野 康人
束北大学大学院文学研究科
-
阿部 晃士
岩手県立大学総合政策学部
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