第三帝国における「経済の脱ユダヤ化」関連重要法令(I)
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概要
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「経済の脱ユダヤ化」とは、第三帝国における経済活動からのユダヤ人の排除をいう。経済活動からのユダヤ人の排除は1933年のナチ党による政権掌握以来、比較的無秩序に行なわれていたが、国家指導部がこれに積極的に関与しはじめた1937年後半以降、一定の政策として遂行されるようになった。政策としての「経済の脱ユダヤ化」は、ユダヤ経営の閉鎖・清算、またはドイツ人への所有権の譲渡(「アーリア化」)という形で行なわれた。経済・社会の広範囲に渡って影響が及ぶこの政策の遂行には、第三帝国の多くの組織・機関が関わり、ユダヤ経営とユダヤ人の運命を決定していったのである。これらの組織・機関が、個々の事例の処理にあたって判断の拠り所にしたのが、国家指導部が出した諸法令であった。だが、これらの法令の全てが公にされたわけではない。『ライヒ官報』や『ライヒ内務省報』で公布されたものもあるが、しかし一般的な法令の「施行細則」としてこの政策の実際の処理過程を規定していたのは、「回覧通達」をはじめとする非公開の指令や内部文書であった。したがって「経済の脱ユダヤ化」政策の具体的な遂行過程を把握するためには、これらの文書の分析が不可欠である。ここに史料として訳出するのは、そうした文書を含む「経済の脱ユダヤ化」関連法令のうち、とくに重要なものである。その多くは文書館史料であり、わが国では初めて紹介されるものである。
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