核上型脊髄損傷によるネコ下部尿路機能の経時的変化に関する研究
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概要
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核上型脊髄損傷の下部尿路機能を検討する目的で,ネコ25頭を用い,第10胸髄を切断して,その直後から1週毎に4週間後まで膀胱内圧曲線と外尿道括約筋筋電図の同時記録を施行した.脊髄損傷直後,膀胱は全例が,弛緩型を示したが,外尿道括約筋活動は脊髄切断直後にも保たれており,外尿道括約筋は他の横紋筋とは異なる性格を有すると思われた.脊髄損傷後,下部尿路機能の推移を経時的に観察すると,detrusor-sphincter-dyssynergiaを示す膀胱収縮・尿道収縮型,synergiaを示す膀胱収縮・尿道弛緩型,膀胱収縮は示さないが,蓄尿時に膀胱内圧が著明に上昇する膀胱弛緩・尿道高活動型,そして膀胱内圧の上昇を示さない膀胱弛緩・尿道低活動型の4型が出現した.これは脊髄損傷が同一条件でも,高位中枢から切り離された仙髄排尿中枢が自動性を獲得していく過程に,大きな個体差があることを示している.膀胱収縮を回復した例をみると,全例が3週間まではdetrusor-sphincter-dyssynergiaの状態であった,4週間経過後には8頭中2頭においてsynergiaへの移行が見られた.今回の検討からは,核上型脊髄損傷後の下部尿路機能は膀胱収縮を回復した後,最終的にdetrusor-sphincter-synergiaを示す膀胱収縮・尿道弛緩型に帰結する傾向が認められた.しかし,一部には膀胱収縮を回復しないまま推移する例もあり,個々のネコにおいて,それぞれ異なる下部尿路機能を示す可能性も考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1988-06-20
著者
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