進行膀胱癌に対する集学的治療 : 膀胱部分切除術症例の治療成績

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岡山大学医学部泌尿器科で,1970年より1984年までの15年間に膀胱部分切除術を施行された膀胱癌50症例のうちStage pT2以上の進行膀胱癌32例を対象とし,集学的治療の有用性についてその予後を中心に統計学的に検討した.集学的治療群は,膀胱部分切除術後に,化学療法(VIB or VIP)および放射線療法(Linac 3,000rad)を併用施行した.集学的治療群の3年生存率は83.3%,5年生存率は74.1%で,非集学的治療群(膀胱部分切除術のみ,膀胱部分切除術+放射線療法,膀胱部分切除術+化学療法)に比して有意に(p<0.05)予後良好であった.集学的治療はどのStageの症例に対しても有効であり,特にStage pT3aまでの症例に対しては極めて有効で癌死例は無かった.また,集学的治療は組織学的浸潤増殖様式INFβ,γ症例,リンパ管侵襲または静脈侵襲を有する症例においても高い有効性が認められた.膀胱部分切除術の適応基準としては,初発例で,腫瘍が切除可能な部位に限局し,他の部位に異型上皮を認めないこと,Stage pT3a以下であり,リンパ節転移,遠隔転移を認めず,膀胱機能が十分であることが必要であると考えた.膀胱部分切除術は,集学的治療を施行することにより症例を厳密に選択すれば,進行膀胱癌を根治させることができ,膀胱保存を可能とし,quality of lifeを保持する点において有用な治療法の一つと考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1988-05-20

進行膀胱癌に対する集学的治療 : 膀胱部分切除術症例の治療成績

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