尿流動態検査における直腸収縮の検討

概要

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(背景と目的)我々は,直腸収縮が尿流率と括約筋電位に与える影響を検討した。(対象と方法)対象は直腸内圧測定を含むPressure-flow study併用尿流動態検査を施行した246名である。尿流測定と残尿測定を施行後,膀胱内圧,直腸内圧,尿流測定,括約筋筋電図を同時測定する尿流動態検査を日常排尿と同じ姿勢で施行した。咳嚇,呼吸と関係の無い5cmH_2O以上の周期的な直腸内圧の上昇(以下直腸収縮と略)を直腸収縮として検討した。(結果)直腸収縮を認めた症例は17名(6.9%)であった。直腸収縮陽性群の年齢は70歳,直腸収縮陰性群は62歳であり直腸収縮は高齢者において頻度が高かった。Pressure-flow studyでは直腸収縮直前の尿流率と直腸収縮時の尿流率を比較すると直腸収縮時の尿流率は低下しており,括約筋筋電図では直腸収縮時に電位が上昇する傾向を認めた。(結論)直腸収縮は,高齢者の排尿障害の一因である可能性が示唆された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-10-20