殺虫剤無散布リンゴ園における昆虫病原糸状菌の発生消長
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概要
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殺虫剤無散布リンゴ園において,昆虫病原糸状菌の発生消長を1996年から2001年までの6年間調査した.調査期間中10,411頭の病死虫が採集された.最も多く採集されたのは1998年で,最少であった1996年の約10倍であった.昆虫病原糸状菌の季節的発生消長は年により変動し,各年の発生ピークは1996年, 1998年は9月, 1997年は5月, 1999年, 2000年, 2001年は8月に現れた.採集された病死虫はコウチュウ目昆虫(81.7%)が大多数であり,チョウ目(8.7%),カメムシ目(5.8%) ,ハエ目(1.8%)と続いた.病死虫から分離された主な昆虫病原糸状菌はBeauveria bassiana (87.7%), Paecilomyces tenuipes (5.7%), Paecilomyces farinosus (2.4%), Metarhizium anisopliae (1.0%), Hirsutella jonesii (0.5%)であった. B. bassianaは主にコウチュウ目昆虫,特にニセマルガタゴミムシから多く分離された. P.farunosusは主にチョウ目,カメムシ目,コウチュウ目昆虫から, H.jonesiiはミツボシツチカメムシだけから分離された.各年の病死虫の発生総数と調査期間中の総降雨量との間には高い相関がみられ(r=0.94),雨が多い年に病死虫の発生が多かったことから,気象要因,特に降雨量は,菌の発生消長に大きな影響を及ぼすことが示唆された.
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 2007-08-25
著者
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