ムクゲの花の開花および老化過程におけるエチレン,ポリアミンの代謝ならびにそれらが花弁の老化に及ぼす影響(発育制御)
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概要
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高等植物ではエチレンとポリアミンはそれらの生合成において,メチオニンから合成されるS-アデノシルメチオニン(SAM)を共通の中間基質としている.本研究では,短命花として知られるムクゲの開花および老化に伴うエチレンの生成ならびに花弁中のACC,結合体ACC,ポリアミン含有量の変化,またエチレン発生試薬やエチレン合成阻害剤,あるいはポリアミンやポリアミンの合成阻害剤による処理が花弁の老化に及ぼす影響を調べ,ムクゲの花の老化におけるエチレンとポリアミンの作用ならびにそれら代謝の相互関係について検討を行った.ムクゲは開花前から花弁中に微量のACCを含有し持続的に少量のエチレンを発生したが,花弁の老化開始前後から結合体ACCの増加と共にエチレン発生量の急激な上昇が認められた.花弁中のポリアミンについては,プトレシンやスペルミシンが大きな変動を示さなかったのに対し,スペルミン含有量はエチレン発生量が上昇するのと対照的に老化の進行に伴って減少した.SAMからのACC合成を阻害するAVGは,エチレン生成を抑制し,花の老化を著しく遅延すると同時に花弁中のスペルミン濃度を高く維持した.一方,SAMの脱炭酸酵素の阻害剤MGBGは,スペルミン合成を抑制するとともにエチレンの生成を促進し花の老化時期を早めることから,エチレンとポリアミンの生合成における共通基質SAMの流れがムクゲの花の老化に大きく係わっていることが示唆された.
- 2007-07-15
著者
-
藤原 伸介
農研機構中央農総研
-
藤原 伸介
中央農業総合研究センター
-
徐 相規
筑波大学生命環境科学研究科
-
小林 勝一郎
筑波大学生命環境科学研究科
-
徐 相規
筑波大院生命環境科学研究科
-
藤原 伸介
中央農業総合研究セ
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