フクイカサスゲ(カヤツリグサ科)について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
フクイカサスゲ(Carex persistens Ohwi var. watanabei Ohwi)はキンキカサスゲの変種として新日本植物誌(大井次三郎著,北川政夫改訂1983)に発表されたが,この名はラテン語の記載文を欠いており裸名である.私たちはこの植物が分類群として認知できるかどうかを標本庫の標本とフィールドでの調査により検討した.その結果,フクイカサスゲの特徴とされる果胞の剛毛に関しては,剛毛の無いもの('var. persistens'がこれに相当する)から少しあるもの('var. takeuchii'はこれに相当する)を経て密にあるもの('var. watanabei'がこれに相当する)まで,変異は連続的であることがわかった.最も多いものは無毛のもので,キンキカサスゲの全分布誠に広がっていた.果胞に剛毛があるものは近畿地方北部から福井県にかけて集中的に分布するが,その地域には無毛のものも普通に分布している.また,生育地の環境の違いについてもはっきりした違いは見あたらなかった.従って私達は,キンキカサスゲ内に果胞の剛毛によってvar. takeuchiiやvar. watanebeiなどの変種を認めることはできない,との結論を得た.
- 2004-02-29
著者
関連論文
- 紀伊半島におけるミヤマカンスゲ類(カヤツリグサ科)の分布
- ミヤマカンスゲ(カヤツリグサ科)の有花茎の着く位置
- 芦生演習林産樹木の実生形態8 : グミ科, シナノキ科, ウコギ科
- 中国海南島産ミズアオイ属の新種
- 芦生演習林産樹木の実生形態 6. クスノキ科. クロタキカズラ科, クロウメモドキ科
- フクイカサスゲ(カヤツリグサ科)について
- 高知県室戸市で確認されたカミガモソウ Gratiola fluviatilis (ゴマノハグサ科)の新産地とその生育状況
- 芦生演習林産樹木の実生形態 7. ヤグルマ科, フサザクラ科, カツラ科, トチノキ科, イイギリ科, キブシ科
- 芦生演習林産樹木の実生形態 5. ブドウ科, アワブキ科, ウリノキ科
- 芦生演習林産樹木の実生形態-3-ビャクダン科,マタタビ科,ツバキ科,マンサク科,トウダイグサ科,ユズリハ科,ミカン科,モクレン科,マツブサ科
- 芦生演習林産樹木の実生形態-2-クルミ科,カバノキ樹,ブナ科,クワ科
- 芦生演習林産樹木の実生形態-1-アケビ科,ウルシ科,ミズキ科,エゴノキ科,ハイノキ科,クマツヅラ科
- 近畿地方新産のヤナギトラノオとその分布
- 湿潤熱帯アジアの植物インベントリー(日本植物分類学会第4回高知大会公開シンポジウム講演記録「植物分類学の国際協力プロジェクト-その現状と課題」)
- ランビル丘陵(マレーシア,サラワク州)
- トサムラサキ(クマツヅラ科)の近畿地方における産地
- カミガモソウの新産地
- サンインヒエスゲの染色体数と対合様式
- 私の熱帯植物研究とハーバリウム(第10回日本植物分類学会賞受賞記念論文)
- MECビオトープの植物相について
- 「第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件:電子発表の意味するところ(Changes to publication requirements made at the XVIII International Botanical Congress in Melbourne: what does e-publication mean for you. Knapp, S., McNeill, J. and Turland, N. J., Taxon, 60, 1498-1501, 2011)」の
- クロミノニシゴリの分布
- 第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件 : 電子発表の意味するところ
- 「第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件 : 電子発表の意味するところ (Changes to publication requirements made at the XVIII International Botanical Congress in Melbourne : what does e-publication mean for you. Knapp, S., McNeill, J. & Turland, N.J. Taxon 60 : 1498-1501, 2011)」の
- 「第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件 : 電子発表の意味するところ (Changes to publication requirements made at the XVIII International Botanical Congress in Melbourne : what does e-publication mean for you. Knapp, S., McNeill, J. & Turland, N. J. Taxon 60 : 1498-1501, 2011)」
- 第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件 : 電子発表の意味するところ
- 「第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件 : 電子発表の意味するところ(Changes to publication requirements made at the XVIII International Botanical congress in Melbourne : what does e-publication mean for you. Knapp, S., McNeill, J. & Turland, NJ. Taxon 60: 1498-1501, 2011)」の紹介と
- ビッチュウヒカゲスゲを三重県藤原岳にて確認(新産地報告)