Modeling Uncertainty : Problems and Remedies of Rationalist Theories of War
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人間社会が多大の人的経済的コストを伴う「戦争」を繰り返して来たのは何故か。この問いは国際関係論の主要議題のひとつだが、欧米の国際政治学論壇では近年、合理的選択論やゲーム理論などの枠組みを用いてこれに答えようとする研究が盛んになってきた。しかしその「合理的戦争論」の多くは、依拠するモデルの過度の単純化によって現実への適応力を損なっている。 この論文は、近年の主流とも言える合理的戦争論には次の二つの問題があることを指摘する。(1)不確定性や情報の非対称制という概念を多用するが、これらの要素を適用できる条件を特定していない。(2)国家の能力やインタレストを固定して想定する静学的モデルを採用しているため、長期の動学的な関係を分析できない。(3)国際紛争を二国間の問題として想定しているため、第三国の要素を分析できない。第三国を加えたモデルは、合理的戦争論モデルよりはるかに複雑で予測困難なビヘイビアを見せる。 論文では、合理的戦争論がこれらの問題を克服するためには、オルガンスキーやドランなどの動学的戦争論の仮定を取り入れる必要があるとし、中でもドランの「パワーサイクル理論」が、合理的戦争論と最も高い親近性を持つと論じている。
- 2003-09-30
著者
関連論文
- Modeling Uncertainty : Problems and Remedies of Rationalist Theories of War
- Interdependence and Liberal Governance : A Tentative Analysis of the European Union's "Democratic Deficit"
- Japan's failed response to the Basle Accord for capital adequacy standard : Beyond two-level games analysis
- Japan's Failed Response to the Basle Accord for Capital Adequacy Standard:Beyond Two-Level Games Analysis