私事化論再考 : 個人主義モデルから文脈依存モデルへ
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概要
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本稿では、現代宗教論の重要テーマの一つである宗教と個人について、より一般性の高い議論を行うために私事化論を再構築する。従来のルックマン流の理論では、私事化は宗教の拡散化と私的領域への撤退を招くとされた。だが世俗化論修正派の論著では、当該地域の社会文化的文脈との交渉も含めた私事化が論じられる。つまり、私事化とは個人が意味調達のために支配的文脈と駆け引きする中で生起する過程だと言える。本稿は、これを従来の私事化の個人主義モデルに対する文脈依存モデルとして提示した。両モデルの本質的差異は意味の問題にある。個人主義モデルは近代世界における意味の問題を捨象し、そこから私事化による宗教の細分化の議論を導いた。一方、文脈依存モデルの観点からは、私事化した宗教も、よりマクロな次元との連関の下に捉えられ、宗教と個人の関係性をめぐる問いも、より大きな問題系の中に定位される。
- 2007-06-30
著者
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