高血圧の診療指針 : 変遷と近年の考え方
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概要
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高血圧の有病率はきわめて高い。公衆衛生の立場から考えると,心血管合併症予防に十分な降圧が実現されているとは言えない。近年,生活様式,環境,食生活の変化に伴い,動脈硬化性疾患の頻度が明らかに高まった。高血圧の治療の目的は,高血圧が直接的に原因となる脳出血,腎硬化症などの予防から,虚血性心臓病,アテローム血栓性脳梗塞など,動脈硬化性疾患の予防に変化してきた。高血圧以外の動脈硬化進展因子として,高コレステロール血症,喫煙,糖尿病などが知られている。従って,動脈硬化性心血管疾患の予防には,高血圧だけではなく,同時に他の進展因子・危険因子の是正を目指すことが重要である。欧米諸国と異なりわが国では,虚血性心臓病と比べて脳血管障害の頻度が依然として高い。欧米で行われた大規模臨床試験を参考にする場合,こうしたわが国の特徴を考慮し,日常の診療に反映させ,脳血管障害発症を予防することが特に重要である。
- 日本保険医学会の論文
- 2005-06-17