知的障害者の一般就労に影響を及ぼす要因の解明
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概要
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本論では,「コンピテンス(環境に働きかけ,効果的に操作する能力)」をキー概念に,知的障害者の一般就労およびその継続の要因,またそれを阻害する要因を解明した.(1) 就労に関するコンピテンスの発達によって,「職業能力・就労意欲の発達」「客観的・肯定的自己認識の発達」「社会化の成長発達」「自立生活を営む意欲の促進」がみられた.(2) 「支援者の都合・信念を第一義とする支援」「知的障害者の就労に対する消極的な信念」「支援者を支援する環境や制度の不在」によってコンピテンスの発達に阻害や衰退がもたらされていた.以上より,知的障害者は適切な応答を受けてコンピテンスが発達すれば一般就労およびその継続は成功する可能性が高いが,適切な応答を受けられずにコンピテンスの発達が阻害されれば,一般就労およびその継続に失敗する可能性が高いことが明らかとなった.
- 2007-05-31