<論文>近代日本における死をめぐる経験と現代的諸課題
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概要
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本稿は,近代日本における諸経験と照らし合わせるという視角のもと,死や死別に関する現代的諸課題を整理する試みである。本稿では,まず,論点整理の基準として,「家族」の統合性をめぐって展開される,村落共同体モデルとその変容,ならびに,国家行政の関与や葬送・医療の関わり方の変容を採用し,その変容経験について概略的に整理した。その上で,このような作業の意義の1つとして,生や死をめぐる関心の社会的高まりとして示されるような今日的状況に対して,現在を秩序づけ,認識するための枠組み,ないしは,道具としてとらえうる点を指摘し,その現代的有効性として,たとえば,現代の高齢者の死をめぐる意識について,戦争時における記憶と,現在,直面している死別(近親者や自分自身)の経験が強く影響していると考えられ,それと連動するなかで,死や死別に対する社会的受け皿の欠落感覚もまた浮上してくる事態などを検討するときに発揮されうることを指摘した。
- 九州大学の論文
- 2002-02-15