現代社会における「死の社会学」 : 「タブー視される死」の再構成を通して
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概要
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本稿は,「タブー視される死」の議論の検討をつうじて,現代社会における「死の社会学」の可能性を考察する。まずフィリップ・アリエスよる,「タブー視される死」へと至る態度変容の枠組みが,近代社会の成立という視点と近代社会内部の区分という二つの視点から構成されていることを示す。その内実について,ピーター・バーガーの知識社会学などを踏まえながら,公的領域と私的領域,社会のなかの「家族と個人」という観点から整理した。次に,「タブー視される死」という認識が,現在,別の現実を駆動させる上での出発点となっている点に注目した。本稿では,[1]「死の孤独化」や「死の隔離」の議論,[2]「死の社会性」の二つの議論から,現代社会における「死の社会学」の諸課題と可能性を検討し,これらの諸議論は,一方で,新しい死への態度理解に貢献するものとして,他方で,死への態度を理解する枠組みを変容させるものとして評価されうることを指摘した。
- 2001-02-16