情報を生み出す脳
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概要
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私たちの目標は脳の動的な働きを捉えることである。脳の働きのダイナミクスに対する私たちの考えを図1に概念的に示す。図に示したとおり、自転車は2つの車輪が協働して初めて正しく走る。私たちは2つの車輪に相当する脳の機能を提案する。ヒトは生きるために外界の環境に適応する必要があり、それと同時に環境のモデルを脳の中に構築する。環境からの入力がたとえなくても、人間の脳はこのモデルを使っていくつかのオプションを検討し、状況にもっともふさわしいと思われる行動を決定することができる。環境に変化があった場合、行動もそれに合わせて変えなければならず、内部モデルも適切に修正されなければならない。このように、図1の右の車輪は環境のモデルが時々刻々とダイナミックに変化する様子を示している。図1の左の車輪は脳内の情報処理の背後に存在する推論のダイナミクスを表している。環境に対するモデルの利用とはまた別に、それは世界を推測するためのひとつの構成要素となる。私たちがある行動を計画するときに、脳はいくつかの可能な仮説をたて、それぞれに応じた将来の予測を試みる。これらの予測を検証するために、私たちは実際に身体を使って行動を起こし、外界からの結果を得る。もし行動が適切でなかったと分かれば、脳は新しい仮説を作り、新しい結果を推論し、そして内部モデルの修正を行う。このダイナミックなプロセスが、内部モデルが外界の環境と適合するまで繰り返される。私たちの図においてこれら2つの車輪は記憶と学習の機能によって連動しているが、両輪の動きの原動力となるエネルギーを生み出すために必要なものは何であろうか?私たちは、車輪を動かすためのエネルギーは信念、欲求、意志、感情によって提供されると信じている。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2007-03-08
著者
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