非妊時BMIからみた妊娠合併症の検討
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概要
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平成15年度のインシデントレポートを分析し, 療養上の世話・療養生活の場面に係わる事象, 特に転倒・転落について検討した. 平成15年度(H15.4~H16.3) に報告されたインシデントレポート数は2542件あり, このうち転倒・転落が241件であった. そこで, この241件を対象に詳細を検討した. 診療科別発生件数では, 神経精神科35件, 放射線科23件, 心臓血管外科19件, 小児科17件, 食道・胃腸外科15件, 整形外科14件等であり, 当院の26診療科のすべてにおいて1件以上発生していた.当該病棟における特徴的な転倒・転落の因子を明らかにするため, 対象の背景が比較的均質で, 発生件数がほぼ同じである食道・胃腸外科の15件(以下外科群) と整形外科の14件(以下整形群) に関して比較検討した. 年齢, 転倒場所, 受傷の程度, 転倒の既往を有する患者数, 入院時のアセスメントスコアおよび危険度については両群間に差異は認めなかった. 手術症例における転倒の時期については, 整形群では外科群に比べて術後30日以降の転倒が多かった.非妊時の体格と周産期合併症との関連について明らかにするために, A施設にて2001年~2005年の5年間で妊娠37週以降の正期産にて分娩した593例を対象に, 分娩助産記録より年齢, 身長, 体重, 妊娠・分娩経過, 妊娠中の異常,分娩時の異常, 分娩様式に関するデータリストを作成した. それらの非妊時BMI を算出し, 日本肥満学会の判定基準に従い, 「やせ(低体重):A群」, 「ふつう(標準):B群」, 「肥満:C群」に分類し比較した.対象者593例の年齢は18~44歳に分布し, 平均年齢は30.7±5.1歳であった. 非妊時体格分類は, A群97名(16.4%),B群424名(71.5%), C群72名(12.1%) であった. 各群の平均年齢は, A群29.9歳, B群30.7歳, C群31.8歳であった. 妊娠中の体重増加量(A:B:C群) は, それぞれ(10.56kg:10.20kg:6.08kg) でC群は他の2群に比較し有意に体重増加量が少なかった. また, 分娩時出血量(A:B:C群) は, それぞれ(449.0g:464.5g:662.9g) で,C群は他の2群に比較し有意に多かった. 新生児の出生時体重では(A:B:C群) は, それぞれ(2995.8g:3092.3g:3307.6g) であり, 3群それぞれの間に有意差を認めた. その他の項目では有意差は認められなかった. 周産期合併症では, 妊娠高血圧症候群と妊娠糖尿病の合併率(A:B:C群) は, それぞれ(6.2%:8.7%:26.4%) および(1.0%:1.4%:12.5%) でありC群が有意に高かった. また, 新生児仮死は(A:B:C群) でそれぞれ(11.3%:8.7%:20.8%) であり, いずれも3群間に有意差がみられたが, 新生児仮死は標準群の発症が最も少なかった. その他の周産期合併症では有意差が認められなかった. 以上のことから, 非妊時の体格が「肥満:C群」では, 周産期合併症の発症率が高いことが示された.
- 秋田大学の論文
- 2007-03-30
著者
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