投影法と自尊感情尺度を用いた地域高齢者の介護意識に関する検討 : 介護規範と介護における関係性に関する検討
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概要
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高知県N市の高齢者教室において,介護を要しない高齢者(N=51,男性:N=7,75.4±3.0才,女性:N=44,75.0±5.0才)を対象に,投影法及び自尊感情尺度を用いて,高齢者の介護意識について検討を行った。調査方法は,調査者が「要介護者を介護者が介護している絵で,2人のそれぞれに漫画の吹き出しがある絵」を提示し,吹き出しの中に自由に言葉を記載してもらう方法であった。さらに,調査者は被験者に「父・母・夫・妻・息子・娘・嫁・ホームヘルパー」の記載のある用紙を渡し,その中から要介護者を1者,介護者を1者,それぞれ選び出してもらった。同時に,被験者はRosenberg, M.の自尊感情尺度表を自記式で記載し,調査者はそれにもとづいて得点を算出し,関連性を検討した。検討の結果,以下の項目が考えられた。(1) 被験者は,介護者として「嫁・妻・娘」を想定していた。それは,従来の介護規範と同様であった。しかし80才程度以上の被験者では,従来の介護規範以外の介護者を想定していた。すなわち,「息子・ホームヘルパー・夫」を介護者として想定していた。(2) 被験者は,要介護者と介護者の関係を「痛苦を訴える要介護者を,激励しながら世話する」という形態で想定していた。また被験者は,要介護者が要求したことを介護者が無茶件に行うという想定をしていた。(3) 被験者のうち,年齢が高い被験者は自分を要介護者と想定し,若い被験者は介護者と想定する傾向が見られた。(4) 被験者のうち,自尊感情尺度得点の低い者は,悲観的な要介護状態を想定しやすい傾向が見られた。(5) 上記の(1)〜(4)の項目は,要介護者が依存的態度になり易いという傾向を示唆していた。
- 高知大学の論文
- 2002-12-31
著者
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