指示詞が指し示す範疇について : 現代韓国語と日本語の対照を中心に
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概要
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本研究では、現代韓国語と日本語の指示詞の現場指示を中心に、いわゆる「範疇指示」という概念の設定の有効性について検証した。その結果、張京姫(1989)の「範疇指示」は次の2点で整理できることを示した。1) 現場に存在する特定の指示対象が指示詞によって修飾されている場合は、一般的な「対象指示」(現場の指示対象を指し示すこと)と「範疇解釈」の対立がうかがえる。2) 韓国語において指示形容詞と指示動詞が事物の属性や動作を指示する場合は1)のような対立が生起せず、そもそも「範疇表現」としてしか機能しない。また、韓国語と日本語では二つの様態の類似性や同一性を表わす際、韓国語は先に言及された範疇表現が描写対象の現場指示に優先する場合が多い反面、日本語は同じ場面で描写対象の現場指示を優先する、という点も明らかにした。最後に、範疇解釈と範疇表現の層位という問題では、<「i / この」+ X >の範疇解釈ではXが人や場所名詞を表す場合、それぞれ出現条件に制約があった。まず人の場合、人の下位範疇である職業名がXの位置に来ることは可能だが、「人」という名詞自体がXの位置に現われることはできない。次に場所名詞の場合、その場所名詞が文の中で「人」が現われる環境の多くに現われる、人が関与しているいわゆる「人性」が高い場合はXの位置に現われにくい。一方、「もの性」が高い名詞はXの位置に現われる上で制約が少ない。
- 同志社大学の論文
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