Cross-Cultural Adaptations in the Experiences of Second Generation Japanese Americans : Culture and Agency amid Parental Immigrant Tradition in Japan and Societal Transformation on U.S. Soil
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概要
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本研究では日米文化史における文化変容論を日系アメリカ人二世に焦点をあて「文化」と「人間」の関わりから考察する。ある理論的視点をあてるとあることが浮かび上がり浮き彫りにされるが、その結果、隠されてしまうところがある。日系移民史の中で社会構造に一方的に敗北してしまうことへの悲劇論や、構造を乗り越えた自負心が産み出す成功物語の論調は、ある状況に対する人間の主体的な選択能力に基づく方向性に初めから色合いをつけてしまう。この論文では、日系二世がその生きた歴史(lived experiences)の中でどのように感じ、何を考え、どんな行動を選び取っていったのかを、19世紀後半から20世紀前半の日米の歴史文化状況と人間の主体的選択行動との動態の相互関係として検討する。この考察の手始めに、いくつかの文献(英文)を取り上げ日米文化関係史の全体像を構築している著者の視点、その「まなざし」そのものに焦点をあててみた。そして移民史における社会の文化の影響力に対し、人間の主体性としての"human agency"による能動的関与に照準を絞り込んだcritiqueを行った。本稿では具体的な歴史と社会を「文化」と規定したが、その文化状況に対し未来をも射程に入れ行動する人間の不断の適応能力、調整能力を"器用な存在"「ブリコラージュ」として捉え、その主体的な選択能力をhuman agencyとして定義した。集約した家庭文化として見え隠れする一世がもたらした日本文化と関わり、より広い文脈のアメリカ文化の中で生活した二世の発想、思考、行動様式を主体的意味生成の歴史として再想像を行っている。まずcultureとagencyから二世を中心にした日系アメリカ文化論の全体的輪郭を論考した。全体を構成する視点の問題やauthorshipの位置づけを念頭に置き、日系二世の日常世界をエスノグラフィーの方法論を用いて掘り起こした。さらに移民文化史関連の一次資料、準一次的および二次資料を取りこみ、日米の歴史文化をアメリカ文化研究の視座構築の一助とした。なお資料については、方法論考察のための若干の文献に加え、中心は日系二世文化関係にまとめ上げてある。
- 2004-03-10
著者
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- 「比較言語文化」における人間的側面
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