身体的自立度の高い痴呆性高齢者の行動分析に関する研究 : 従来型特別養護老人ホームにおけるタイムスタディを通して
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概要
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本研究では,従来型特別養護老人ホームにおける身体的自立度の高い痴呆性高齢者を対象に,1日の行動を7:00〜18:30までの間「タイムスタディ」を通して明らかにし,食事・排泄・入浴に関しておおむね自立している痴呆性高齢者に対して,どのようなケアが必要とされるのかを目的とした.その結果,自らコールを鳴らしたり,ニーズを表すことの少ない自立度の高い痴呆性高齢者は,ケアワーカーとのかかわりが要介護度の高い高齢者と比べると低く,食事時の声かけが「かかわり」の大部分を占めていた.食堂では同席の入所者から話しかけられることが多く,自ら話すことはないがあいづちをうっていた.一方で,居室に出入りする医療関係者に話しかける姿も見られた.これらの結果から,要介護認定を受けながら,特養で生活をしている身体的自立度の高い痴呆性高齢者に必要とされるのは,「話をするケア」であることが示唆された.