世界最小精密遊星減速機の開発
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概要
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現在,一般的に用いられている最小容量のサーボモータは,50〜100Wであり,その外形は角寸法40mmである.組み合わされる精密遊星減速機(以下,遊星減速機)は,最小でも外径60mm程度にとどまる.上述したサーボモータと遊星減速機を組み合わせた場合,減速機の外形が大きすぎ,省スペース上の問題がある.また,サーボモータの容量と比較し,減速機の負荷容量が大きすぎるため,減速機のフリクションロスが大きく,サーボモータの出力が十分活かされないことになる.遊星減速機以外では,波動歯車減速機が,外径20mmまで小型化されているが,機構上,低減速比の実現が困難であり,かつ効率がそれほど高くない.高速駆動が可能で,高効率である遊星減速機の更なる小型化が必要となっている.なお,ここでいう精密についての明確な定義をした文献は特に見当たらないが,日本,ヨーロッパの遊星減速機メーカの資料では減速機の入力軸を固定した際の出力軸の空転角度であるバックラッシ3分以下が,ひとつの目安になっているようである.ところで,筆者は1年前にも同じ題目で,このトピックス原稿を書いた.外径寸法60mm,バックラツシに関しては1分の遊星減速機を開発したと報告し,学会誌の2004年7月号に掲載された.今回は,外径寸法40mm,バックラッシ3分の遊星減速機を開発した報告である.この二つを比較すると,部品に要求される精度のハードルは,前者のほうが厳しい.しかしながら,後者は,歯車のモジュールが0.27と極めて小さく,現在,量産での歯車研削加工実績は見当たらない.そのため開発に当たり,高硬度部材によるホブ歯切りにトライし,目標精度を達成した.本稿では,高硬度歯切り加工の概要および開発した減速機のスペックについて報告する.
- 2005-07-05
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