中世末期日本語と現代韓国語のテンス・アスペクト体系 : 存在型アスペクト形式の文法化の度合い(<特集>日本語における文法化・機能語化)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,中世末期日本語と現代韓国語に共通して見られる,「過去を表す形式と動詞基本形(及び動詞基本形に相当する形式)が現在の状態を表す」という現象について,存在型アスペクト形式(〜テイル・〜テアル/-ko iss ta・-e(a)iss-ta)の文法化の度合いという観点から論じた。結論は以下の通りである。(1)両言語の存在型アスペクト形式は存在動詞(イル・アル/iss-ta)の意味が比較的強く影響しており文法化の度合いが低いので,いわば存在型アスペクト形式の不十分な点を補うようなかたちで,過去を表す形式と動詞基本形(及びそれに相当する形式)が,前の時代に引き続き現在の状態を表していると考えられる。(2)上記(1)の点において,両言語の状況は,アスペクトを表す形式からテンスを表す形式へ,という流れの中で互いに似た段階にあると考えられ,また,「存在」という意味を中心としてアスペクト形式が拡張を見せる,存在型アスペクト形式の文法化の一つのあり方として解釈できる。
- 日本語学会の論文
- 2005-07-01
著者
関連論文
- 中世の文法 文法の面白さを文法教育に--クイズで読み進める中世の文法 (新・古文読解) -- (第3章 時代別の文法)
- 無いはずのニ格句が有る不思議--格体制と〜テイル (特集:日本語の謎) -- (文法)
- アスペクト研究に残る謎は何か--中世末期日本語の謎解き (特集:日本語の謎) -- (文法)
- 中世末期日本語と現代韓国語のテンス・アスペクト体系 : 存在型アスペクト形式の文法化の度合い(日本語における文法化・機能語化)
- 日本語教科書『みんなの日本語』で注意するべきポイント : 学習者が誤りやすい部分を日本語能力試験の分析から明らかにする試み
- 現代日本語の〜テイルと格体制の変更について
- 時代名を含む日本語学の論文の英文タイトルについて : 日本語学の成果を海外に発信するために
- 海外における日本語研究 : アジアを中心に (特集 2010年・2011年における日本語学界の展望)