硝酸態窒素による浅層地下環境汚染に対する関東ロームの応答(<特集>環境汚染問題に対する応用地質学の貢献)
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概要
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近年,化石燃料の燃焼を起源とする酸性雨や,多肥集約農業における化学肥料の散布などにより大量の硝酸態窒素が地表面に負荷されている.その結果,不飽和帯から飽和帯への浸透過程において,塩基の溶脱,アルミニウムや有害重金属の可溶化が生じ人為による土壌環境破壊が問題となっている.本研究は硝酸態窒素による浅層地下環境汚染に対する関東ロームの応答について検討している.武蔵野台地下の関東ロームより深度ごとに採取した試料土を使用し,交換酸度試験ならびに0.14mM硝酸溶液を流入するカラム試験を行い,流出水のpH測定ならびに硝酸濃度を測定し破過曲線の作成を行った.交換酸度試験において,表層より採取した試料土では活酸性および潜酸性ともに低pHを示した.カラム試験において,立川ローム,武蔵野ロームに相当する深度より採取した試料土の破過曲線の形状は大きく異なった.以上より立川ロームの酸に対する緩衝能は低下傾向にあるが武蔵野ロームではこの緩衝能が維持されていることがわかった.関東ロームの酸に対する緩衝能は,立川ローム上層と立川ローム下層および武蔵野ロームにおいて異なっている可能性がある.今後,人為的な硝酸態窒素の負荷の増加により関東ローム深部の酸に対する緩衝能も失われる可能性を示している.
- 2007-02-10
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