幕藩権力の漁村支配 : 渥美半島太平洋岸漁業と漁村知行権
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概要
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渥美半島太平洋岸の十七世紀末から十九世紀初めの漁業は、十八世紀半ばまでは好漁で、それ以降は不漁となった。知行高に浮役高(海高)を含む田原藩は、漁村に浜手代を常駐させて漁猟を支配した。浜手代は、干鰯を中心とした各種の漁獲高の四分一または五分一を水揚げの現場で取り立てることを中心的な任務とし、領民に直接相対する重要な使命を帯びていた。藩は取り立てた漁獲物を入札によって払い下げ、代金を財源の一つとした。一方、赤坂役所による漁猟支配は請け負いによる運上金取り立てに単純化され、地方だけを知行する田原藩を排除していた。総じて、幕藩権力によるこの地域の漁村支配は、漁業の実態に迫って展開されていた。
- 2003-03-31