短鎖二本鎖RNAによる二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)の阻害
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
RNA干渉(RNAi)はshort-interfering RNA(siRNA)と呼ばれる21〜23bpの二本鎖RNA(dsRNA)によって引き起こされる遺伝子発現抑制機構である。本研究では,siRNAのような短いdsRNAがdsRNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)に及ぼす影響について調べた。His-PKR組換え蛋白質と様々な鎖長(11〜41bp)の短鎖dsRNAを作製し,これらを用いて解析を行ったところ,26bp以下のdsRNAではHis-PKRの自己リン酸化は見られず,31bp以上のdsRNAではわずかに自己リン酸化が認められた。しかし,ゲルシフトアッセイの結果,用いた全ての短鎖dsRNAとHis-PKRとの間の結合が検出され,さらに短鎖dsRNAによってHis-PKRの活性化が阻害されることが明らかになった。siRNAを模した短鎖dsRNA(DP-dsRNA)を作製し,siRNAのPKRに及ぼす影響について解析したところ,DP-dsRNAは鎖長がほぼ同じ21bpのdsRNAと同程度His-PKRを阻害した。さらに,細胞内でDP-dsRNAへと変換される短鎖ヘアピンRNA(shRNA)発現プラスミドを培養細胞に導入したところ,shRNA発現により新規蛋白質合成が促進され,細胞内PKRの阻害が示唆された。以上の結果から,siRNAのような短鎖dsRNAによるPKRの阻害が示された。また,これらの短鎖dsRNAが他のdsRNAで制御される蛋白質に影響を及ぼす可能性が示唆された。
- 金沢医科大学の論文
著者
関連論文
- フラビウィルス研究におけるリコンビナントウィルスの応用 研究集会2 日本脳炎ウィルス複製におけるゲノムRNA3`末端NCRの役割
- 12.悪性神経膠腫の分化誘導と遺伝子治療に関する研究(金沢医科大学医学会記録, 第30回医学会総会, 第40回学術集会)
- マススクリーニングにて無症状で発見されたメチルマロン酸尿症
- 短鎖二本鎖RNAによる二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)の阻害
- C型肝炎ウイルス(HCV)のコアタンパク質は二本鎖RNAに強く結合する
- C型肝炎ウイルスの遺伝子の型分類とその臨床的意義