心臓弁置換術症例遠隔成績の検討生存率及び再手術例の背景因子についての統計学的検討

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目的:当科で経験した心臓弁置換術症例を対象に,術後長期生存率に影響を及ぼす背景因子並びに再手術に至る可能性のある因子を明らかにした。対象と方法:対象は過去28年間に当科で施行した心臓弁置換手術件数延べ428例で,再手術を受けなかった症例330例を初回群,再手術を受けた症例47名延べ98例を再手術群(Re-do群)とし,平均追跡期間は9.9年であった。1.初回群とRe-do群の生存分析について統計学的に検討した。更に,弁置換術式別に分け,これらの結果を他施設の報告と比較した。2.初回群を対象に多変量解析を行い,相対危険度(ハザード比)を算出した。また,術式別でも,同様に検討した。3.再手術に至った症例の判定については判別分析により判別方式を求めた。4.Re-do群についてはその原因,弁の種類を分類した。結果:1.初回群(術後5年で90.8%)とRe-do群(術後5年で91.3%)で術後生存率には有意差を認めず,弁置換術別では術後5年で90%を越え他施設(83.6%等)と差は認められなかった。2.心臓弁置換術症例全体及び弁置換術別で,糖尿病や大動脈遮断時間など複数項目に統計学的に有意な相対危険度が算出された。3.年齢,肺動脈楔入圧,大動脈遮断時間を用いる判別方式を求めた。判別方式の的中率は66%であった。4.弁機能不全の原因は,機械弁ではパンヌス形成(線維性物質の過剰増殖)が,生体弁では弁の劣化が高率であった。結論:1.生存率に影響を及ぼす背景因子並びに再手術に至る可能性のある因子を統計学的に検討し,危険因子を明らかにした。2.心臓弁置換術症例に際して判別分析によって再手術を予測する発表はみられず,心臓弁置換術症例遠隔成績の向上のために非常に有用であることが判明した。
金沢医科大学の論文

心臓弁置換術症例遠隔成績の検討生存率及び再手術例の背景因子についての統計学的検討

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